「背の順」整列の何が悪いのか、と叫ぶ人の深層心理
「学校で背の順に並ばせるのは差別だ」
筆者が上梓した『不親切教師のススメ』(さくら社)から一部抜粋してプレジデントオンラインで紹介した記事(※)に関して、大きな反響があった。
※「なぜ誰もおかしいと気づかないのか…学校で『背の低い順に並ぶのは差別』と主張する現役教員の納得の理由」
SNSのコメント欄には、さまざまな声が寄せられた。
「日本の学校文化には意味不明な謎ルールや習慣がある」「確かに大人社会でも同じように背の順で並ぶことになれば変な感じに思うはず」といった賛同意見がある一方、「おかしいと思ったことはない」「背の順のほうが前は見やすいし、後ろの人も教師の指示を見やすい。背の順はむしろ合理的な配慮だ」といった反対意見もあった。
今回は、こうした反対意見に対して筆者の考えをより丁寧に説明していきたい。その前に「背の順は差別」と考える理由を改めて、整理しよう。
そもそも背丈というのは、本人にはどうにもしようがない固有の身体的特徴である。本来、そこに優劣はなく、比較するものではない。にもかかわらず、わざわざ誰の目に見てもわかるようにきっちり序列をつける。これは「差別」である。
「そういうことを気にしないように導くのが教育だ」という意見も聞くが、そもそもそういうことを教育の上でしなければいい話である。比較して並べる慣習が、競争意識をあおって強く意識するようになるのではないか。
ただ、筆者の意見に対する反論が出ることは想定内だった。多くの人は別に「背の順」に苦しんでもいないし、普通のことだと受け入れているからである。
だが、最初にどうしても述べなければならないことがある。それは「背の順で苦しんでいる人が存在する」というただ一点の紛れもない事実である。反対意見の人はそれを無視するか、ひどく軽視している。