性格に問題がある人はだらしない親に育てられている
こういうと反発を買うかもしれませんが、30代の女性社員のように、従順な新入社員を泣き顔で働かすことができるような性格に問題がある人は、子供のころから、しつけにだらしのない親(あるいは周囲の大人)に育てられているものです。それ故に、もし管理者が注意をしても、反抗的な態度をとりがちです。
おそらく18歳の女性社員に負担を掛けすぎていることを指摘すれば、「でも……は必要だと思うんですけど」とか、「私だって……なんですけど」といった口答えをして、不貞腐れるであろうことは目に見えています。
それに加えて、注意をした管理者の悪口を陰で言って回るようなことをするかもしれません。それがわかるために、この管理者としては、関わりたくないのです。
新入社員がかわいそうな目に遭っているのに、「関わりたくない」というのも、従業員にしつけをすることについて、あまりにだらしないのですが、この30代の女性社員の周囲には、こんな管理者しかいないので、当人の振る舞いは変わらないままです。
残念なことに組織には、人と関わって、問題を解決しようとする力や正義感に欠けている人がいることがあります。彼らが管理者であるがために、18歳の女性社員が受ける仕打ちは、見て見ぬふりをされ、退職を考えるに至った原因は、なかったことにされてしまいます。
犠牲者が出てからの対処でなく早めの対処で悲劇は防げる
「性格に問題のある人たち」には、周囲の人たちが非常にたくさんのエネルギーを使うものですが、このケースでは新入社員が疲弊しているだけでなく、せっかく入社した社員が短期間で退職に追いやられ、組織はあらたな人材の補充が必要になるという、リソースの大きなムダ遣いが生じています。
相談者の方が「見ていられない」とおっしゃるのは、新入社員の泣き顔だけではなく、その現象を生み出す周囲の人たちの振る舞いも含めてのことではないでしょうか。
ハラスメント行為者へのカウンセリングをする私に相談があるのは、多くの場合(残念ながら)こうした問題が起きた後なのですが、犠牲者が出てから重い腰を上げるのではなく、相談者のように感じる方、あるいは次に何が起きるのか想像できる方は、泣き顔の社員に早めに手を差し伸べてあげてほしいものです。
正義感を持った人が早く行動を取っていれば、起こらずに済んだと思えることは、あまりに多いからです。
もちろん組織的に状況を問題と捉えて対処するとなれば、それが一番いいのですが、そうでないときには、どうすればよいのでしょうか。