密放流を「環境テロ」と表現するのをときどき耳にするが、まさにそのとおりだなと実感する。

やはり水を抜くしかあるまい。かいぼりでは池の水を電動ポンプで抜いたが、今回はサイフォンの原理で抜いてみることにした。

時間はかかったが、池の水は見事に抜けて、オオクチバスの稚魚をすべて駆除することに成功した(写真4)。

【写真4】捕獲したオオクチバスの稚魚(出所=『絶滅危惧種はそこにいる』)

外来種駆除の取り組みに「腹を立てている人」

「でも、また放流されるんじゃないだろうか」

かかわっているみんなが、そう考えずにはいられなかった。だが、いいのだ。放流されたらまた水を抜いてすべて駆除する。

何度でも。そういう姿勢を見せることが、密放流の防止につながっていくはずだ。

池の水が抜けているうちに、釣りを邪魔するためのネット張りも実行。

釣り人の気持ちになってみると、買ったばかりの高価なルアーを失うわけだから、これは嫌だろう。効果があるかもしれない。

警察にも相談し、パトロールを強化してくれることが決まった。

久保田潤一『絶滅危惧種はそこにいる』(KADOKAWA)

かいぼり後に密放流が行われたこと、それが犯罪であり警察に相談していること、密放流を目撃したら情報を寄せてほしいこと、これらを看板にしたためて、桜沢池の前に立てた。

その後、新たな密放流は確認されていないが、水中に張ったネットにルアーが引っかかっていたことが数回あったので、おそらくバスが駆除されたことを知らずに釣りに来た人がいたのだろう。

また、設置した看板が壊されていたことが3度あり、我々の外来種駆除の取り組みに腹を立てている人がいることもわかっているので、油断できる状況ではない。

今後もスタッフみんなで力を合わせ、桜沢池をよみがえらせる努力を続けていく。

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