日本は世界有数のサンショウウオ王国である。82種以上もあるサンショウウオ科のうち、少なくとも44種は日本の固有種だ。ところがその一部は絶滅危惧種となっている。人気テレビ番組「池の水ぜんぶ抜く大作戦」(テレビ東京)の解説をつとめる久保田潤一さんは「野生化したアライグマが最凶の天敵となっている。許可のない捕獲や殺処分は違法で、対策は難しい」という――。(第2回)

※本稿は、久保田潤一『絶滅危惧種はそこにいる』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

『あらいぐまラスカル』の影響で飼育ブーム

アライグマは、1970年代後半にアニメ『あらいぐまラスカル』の影響で飼育ブームとなった。

愛嬌あいきょうのある顔にしましま模様のしっぽ。食べ物を洗うような行動もかわいらしい。

ペットとして人気が出るのもよくわかる。

だが、ペットに向いている動物と向いていない動物というのはある。

ペットに向いているのは、人間が長い期間かけて品種改良し、飼育できるようにしてきた動物だ。

犬や猫、豚や鶏などの家畜・家禽かきんがこれにあたる。

飼いきれなくなり野外に捨てられた

ペットに向いていないのは、野生動物だ。

一見かわいくて、赤ちゃんのころはなついたとしても、成長すれば手に負えなくなるのが常だ。

そしてアライグマは、アメリカ大陸の大自然の中で暮らしている、れっきとした野生動物だ。

日本にペット用に持ち込まれたものの、気性が荒くなって飼いきれなくなり、アライグマたちは野外に捨てられた。

アライグマ
【写真1】アライグマ(出所=『絶滅危惧種はそこにいる』)