捕獲や殺処分は簡単ではない

アライグマ対策としてやることは二つ。

まず簡単にできることは、アライグマが捕食しづらい状況を作り出すこと。

各地で行われている事例を見ていると、産卵場の水面に板を浮かべるのが効果的なようだ。シェルターとなって、その下にいるサンショウウオや卵のうが守られる、シンプルな対策だ。

もっと根本的な解決策としては、アライグマを捕獲することだ。

ただ、これがなかなか難しい。特別な許可が必要だし、捕獲も簡単ではない。

大きめのカゴわなを設置し、餌を入れて捕まえるのだが、これを毎日見回る必要がある。

タヌキなどの在来種が間違ってかかってしまった場合、なるべく早く放してやる必要があるからである。

久保田潤一『絶滅危惧種はそこにいる』(KADOKAWA)
久保田潤一『絶滅危惧種はそこにいる』(KADOKAWA)

うまくアライグマが捕獲できたとしても、最大の難関が待っている。

それは殺処分だ。

外来種とはいえ、苦痛を与える方法での殺処分はやってはいけない。動物愛護管理法という法律で決められている。

現在、私たち公園管理者としては、行政が試験的に行う捕獲・駆除に少し協力する、というぐらいのことしかできていない。

今後、捕獲・駆除を行う体制をしっかりと確立して、トウキョウサンショウウオが安心して暮らせる場所を増やしていくつもりである。

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