「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」

「これで桜沢池は生まれ変わるぞ」

そう思っていた矢先のことだった。

5月の終わり、すっかり平和になったはずの桜沢をパトロールしていたパークレンジャーより、緊急連絡が入った。

「桜沢池を大きなバスが泳いでいる。少なくとも2匹いる」

やられた、密放流だ。

かいぼりでオオクチバスがいなくなったことを知ったバス釣り人が、またこっそりと放流したのだろう。

あれだけみんなで頑張ったことを一瞬で無にしてしまう、その行為をいとも簡単にする人がいることが衝撃だった。

オオクチバスは特定外来生物に指定されているから、放流は犯罪だ。

個人がこの罪を犯した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となる。

写真=iStock.com/kazuma seki
密放流は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」(※写真はイメージです)

ショックを受けつつも、ボヤボヤしていられない。

5月の終わりは、オオクチバスにとっては繁殖最盛期に差し掛かっているから、もし見つかった2匹がオスとメスだったら、繁殖する可能性がある。

そうなれば、せっかくの努力がいよいよ本当に無駄になってしまう。

釣り経験のあるスタッフに指示し、すぐに2匹を釣り上げた。しかし翌日、オオクチバスの成魚がもう1匹泳いでいるのが確認された。

密放流は「環境テロ」

そしてその3日後、恐れていたことが現実になってしまった。桜沢池の中に、オオクチバスの稚魚が群れで泳いでいるのが発見されたのだ。

孵化までの日数がおおむね1週間ぐらいであることを考えると、2匹を釣り上げたときにはすでに産卵は終わっていたことになる。

環境保全的にも、精神的にもダメージが大きい。