価値観の変化に気づかず、友達ができにくくなる
過去の栄光もそうだが、自分が経験して身につけたことは、いつの時代にも通用する絶対的な真理だと思い込んでしまうところがある。
そのときはそうだったかもしれないが、年をとってくると、時代が変われば価値観も変わるのだということが、なかなか認識できなくなる。
自分の考え方を疑うより、そのほうがラクだからだ。前頭葉が老化してくると、こうした経験則の落とし穴にはまってしまいがちである。
高齢になるにつれて友だちが少なくなる要因の一端は、ここにもあるような気がする。
男性の場合、定年後に友だちができる人とできない人の差は大きい。会社時代の友だちとの関係をつなげていけるだけでも、立派なものだ。麻雀や飲み会に誘われるとしたら、その関係はできるだけ大事にしたほうがいい。
女性のほうが友人関係はキープされやすいだろう。50代から60代になっても、一緒に旅行したりするグループはよくある。ただ、子どもが同じ学校に通っているうちは、ママ同士の友だちは増えることがあるけれど、40代以降に新しい友だちができる人は、それほど多くはない。
増えることがないというのは、新たな環境に出ていって友だちを増やすということをしなくなるからだ。
新しい環境づくりに取り組む
もう一つは、ケンカをしたときの仲直り能力が、年をとるにつれて弱くなることも影響している。相手の気持ちを推し量ることができにくくなって、強引に自分の主張ばかりを通そうとするから、周囲から敬遠されて、友人も歯が欠けるように減っていく。
一般に、60代、70代になっても友だちが多い人は、前頭葉をしっかりはたらかせている証拠といえよう。
よく60代になったら地域のコミュニティに入って、新しい友だちをつくろうなどといわれるけれど、なかなか思うようにいかない人が多い。とくに男性の場合は困難である。
めんどうくさいことを嫌がるから、よけいにその傾向が強くなる。
飲み屋のカウンターで隣り合った見知らぬ人に声をかけたりするのは、いろいろな経験を積んできた、年をとってからのほうがしやすいと思うのだが、なぜかあまりしなくなる。
しかし、老化に抗していきいきとすごしたいなら、新しい環境づくりに積極的に取り組むべきだ。