「好き」を仕事にする難しさ【妻・加代の視点】

誰しも好きなことはいろいろあると思うのですが、好きと思えることと、仕事、それも収入をいただける仕事の間にはギャップがあります。

私自身、長年勤めた会社を退社した後、「好き」と思えることを仕事にしようとしたものの、ギャップを乗り越えられず、苦しい経験をしました。

私が昔から好きなことに、「食べる」「料理を作る」「野菜」があります。会社員時代は、趣味も兼ねて、野菜ソムリエの教室に通い、初級レベルのジュニア野菜ソムリエの資格も取得していました。

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そして、勤務先を退職すると決めた当時は、夫との会社を立ち上げるだけでなく、こうした「食に関わる仕事」で自分の居場所をつくることを目指していたのです。いまは確定拠出年金アナリストの仕事がメインですから、意外に思われたかもしれませんね。

今思えば、長期ビジョンはあっても、具体的な策に乏しい船出でした。

資格をとっても仕事につながらないという現実

まずは何か資格があったほうがよいだろうと考えた私は、野菜ソムリエの上級資格を取得すべく、勉強を始めました。野菜の伝来から栄養、肥料や農業・健康に関する政策まで、幅広い分野の知識を身につけるのはとても楽しかったです。

ただ、資格を取得する過程で直面した現実があります。それは、「どうやら自分が上級資格をとったところで、仕事にはつながらないようだな」ということです。

当時、野菜ソムリエは、芸能人やスポーツ選手と結婚した女性が取得したことで、メディアに頻繁に取り上げられ、認知度が高まりつつある状況でした。話題性は抜群ですし、「野菜について一定レベル以上の知識を持っている人」というお墨付きを得られることは間違いありません。

しかしながら、野菜ソムリエは、弁護士や税理士、社会保険労務士といった士業のように、「その資格がないと仕事ができない」というわけではないのです。

もし私が芸能人であれば、野菜ソムリエの資格を持っていることによって、野菜や料理関係の番組出演の依頼が増えたかもしれません。あるいは、料理教室の先生や飲食店オーナーであれば、講師としての価値やお店のブランド価値が上がるのかもしれません。

現実の私は、元証券会社勤務の主婦であり、単に「野菜ソムリエ資格を持っている」だけでは、直接的に仕事につながることはまずないのです。