心臓と脳の機能が向上し、免疫力が高まる
3 熟睡できる
感謝の心は睡眠を改善する。これは多くの研究で証明されている。仕事、家庭、人間関係、健康、財産のどれであれ、たえず何かについて心配すると睡眠不足の原因になるが、感謝の心を持つと不安がやわらいで熟睡することができる。
慢性痛を抱える65人の被験者を対象にした研究で、感謝の日記を毎日つけていた人たちは、そうでない人たちよりも熟睡していたことがわかった。また、400人の被験者を対象にした別の研究でも、感謝の心を持っている人たちは、そうでない人たちよりも熟睡していたことが判明している。
感謝している事柄を就寝前に思い浮かべると、睡眠の質が上がる。感謝の心はポジティブ思考を促し、気分を落ち着かせることができるからだ。このように、感謝の心を持つことは、熟睡するうえで非常に大きな意味を持つ。
心理学者のロバート・エモンズ博士とマイケル・マクロー博士は、神経と筋肉の障害を抱える人たちを対象にした重要な研究で、感謝している事柄を就寝前にリストアップするように指示した。すると数週間後、被験者はより熟睡し、朝目覚めたときに気分がすっきりしていたことがわかった。以上の事実を総合すると、常に感謝の心を持って生活すると、心身を整えて熟睡するのに役立つと言える。
4 心臓と脳の機能が向上する
カリフォルニア大学サンディエゴ校のポール・ミルズ教授は同僚と共同で、感謝することが心臓の機能におよぼす影響を調べる研究をおこなった。のちにアメリカ心理学協会によって発表されたその研究は、ふだん受けている恩恵に感謝すると、心不全のリスクのある患者たちの心臓の機能が向上することを発見した。
別の研究では、いつも身の回りのものに感謝すると、脳の機能が向上することがわかった。南カリフォルニア大学脳科学研究所の研究者たちは、感謝することがどのように脳を変化させるかを見きわめるために、ホロコースト(ユダヤ人の大虐殺)の生存者のさまざまなエピソードを取り上げた。
研究者たちは、ホロコーストとは関わりのない20代の23人の被験者を使った。彼らはホロコーストの生存者たちが自らの経験を思い出しているドキュメンタリーを見た。その中で生存者は見知らぬ人からの衣食住の支援に感謝していた。研究者たちは被験者に、もし自分がホロコーストのさなかに誰かから救いの手を差し伸べられたらどんな気持ちになるかを想像させた。
被験者がその様子をイメージしているとき、研究チームがMRI検査で彼らの脳の画像を調べたところ、ふだん受けている恩恵に感謝することは、脳の中の公正な道徳観念を生み出す部位である前帯状皮質と前頭前皮質を刺激することがわかった。
5 免疫力を高める
感謝の心を持つことは精神的な健康だけでなく肉体的な健康も増進する。これは単なる理論ではなく、少なくとも137の研究がそれを証明している。
これらの研究は、感謝の心が手術後の速やかな回復や免疫力の向上といった好影響を与えることを示している。また、科学的研究によると、感謝の心を持っている人たちは血圧が安定し、精神疾患にもかかりにくいので、医者の世話になる必要がめったにないことがわかっている。