相手の行動のハードルを下げる「巻き込み構文」を活用

5%社員は、社内で全従業員へ依頼するときは「巻き込み構文」を使います。

たとえば、何か業務上の依頼メールを送るとき。「今後の経費精算では、承認者の氏名も教えてください。未入力の場合は支払いが遅れるケースがあります」などと、一方的に依頼するようなことはしません。

いきなり依頼せず、最初に相手のメリット、もしくは理由や背景を説明してから具体的な依頼をします。そして最後に、行動するための相手の心的なハードルを下げて、確実に相手に動いてもらうような一言を添えます

つまり、5%社員は、若いうちから相手に強引に言うことを聞かせようとしたりせずに、より多くの人を巻き込もうと、常に「Win-Winの関係」を意識して行動する姿勢が身についているのです。

「間接承認」を巧みに使う

巻き込み力に関連してもう1つ。

5%社員は20代から「人をめること」も積極的に行っていました。同期や同僚、ときには上司や先輩も上手に褒めていたのです。相手を心地よくさせながら、うまく巻き込んでいました。

とりわけ5%社員に特徴的な褒め方が「間接承認」です。第三者を介して相手を褒めるのです。

たとえば「人事部の採用面接の手伝いをするなんて感心だね」ではなく、「先週、採用面接を手伝ってくれたらしいね。人事の山田さんがすごく感謝していたよ」などと伝えます。

第三者の名前を出して褒められると余計に嬉しくなる

「人事部の山田さん」という第三者を経由して間接的に褒めたほうが、結果的に相手を喜ばせます。「山田さんは私が手伝ったことに感謝してくれていたんだ」「私の努力を見てくれていたんだ」「ありがたいな」と、“嬉しい気持ち”が膨らんでいきます。

褒められてテンションが上がった相手の様子を見ることで、褒めた人もハッピーな気持ちになります。さらには名前を出された人(先の例なら“人事部の山田さん”)も、ハッピーに。間接承認を用いることで、関係した3人がみなハッピーになるのです。

“したたか”ともいえる褒め方の工夫が、周囲の人をきつけ、チームで課題を解決していく雰囲気づくりに寄与します。