ファンがファンを生み「手の届く憧れ」として成長を続ける

「スノーピーカー」と呼ばれるファンとは、商品だけでなく、イベントなどを通じて深く強固な関係が築かれている。ファンとスノーピークの社員たちが一緒にキャンプを楽しむイベント「スノーピークウェイ」に加え、購入金額が累計100万円を超える「ブラック」や300万円以上の「サファイア」の会員ランクの熱狂的なファン限定で、経営幹部と一緒に焚火を囲みながらキャンプをするイベントも年に数回開催されている。創業地である新潟県の本社敷地内のキャンプ場は、ファンから「聖地」と呼ばれ、ファンの集まる特別な場所になっている。

こうした熱心なファンは、新しい仲間をキャンプに連れてきたり、SNSでクチコミを発信したりして、彼ら自身で新しいファンを増やしていく。その結果、ファンを増やしながら、「こだわりを持ったキャンプ好きはスノーピークを好む」という評判が作られていき、キャンプを楽しむユーザーにとって「手の届く憧れ」のブランドとして成長を続けている。

人々が安心する「信頼タイプ」

「信頼するファン」を増やす、信頼タイプのファンマーケティングでは、「納得」「便利」「機能性」の3要素が重要になる。商品・サービスで提供される機能や品質に対して、心の底から納得できて初めて、人はそれらを「信頼できる」と判断する。「自分のことを考えてくれている」「これなら安心だ」と思い、信頼関係が生まれる。ただ良い商品・サービスというだけでなく、コストパフォーマンスに優れている方が納得感は生まれやすい。また、「便利な価値」を提供することで、ファンの信頼を獲得しやすくなる。「使いやすい」「故障しない」「長持ちする」といった便利な価値は、ファンから信頼を集め、そして「新しい当たり前」となって、さらに広く普及していくことができる。

写真=iStock.com/AndreyPopov
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