マーケティングの再構築により高い信頼を集めた

成功のもう1つの背景として、マーケティングの再構築がある。チェキを「世界で一番『カワイイ』インスタントカメラ」と位置付け、パステルカラーなど、若い女性に向けたデザインの新機種を積極展開した。また、カメラの専門店や家電量販店よりも、本・雑貨・アパレルが売られる場所を販路として重視するように方針転換した。そうして、一度離れたユーザーを取り戻すのではなく、若いユーザーを新しく開拓する戦略に舵を切り、成功を掴んだ。

商品に受け継がれる、撮影・現像・プリントの高い技術力。あえて残している「ジー!」というノスタルジックなプリント音。スマートフォンで撮影した画像をチェキで現像できるなど、アナログとデジタルを結び付けた新機種の開発。そして、「don’t just take, give.(とるだけじゃない、あげたいから。)」をコンセプトに、自分で撮影するだけでなく、その写真を誰かにプレゼントして伝え、体験を共有するコミュニケーションツールとなるブランドの世界観。これらが支持され、商品としても、ブランドとしても、高い信頼を集めることで、世界中でファンを拡大し続けている。

【関連記事】
不本意なギザギザ切り口を「かわいい」と褒められた…工業用マスキングテープが売れ筋文具になったワケ
ついに売上の4割が海外に…ほぼ日手帳がアメリカで熱狂的な人気を集めるワケ
価格にうるさいお客は本当のお客ではない…安売りをやめた十勝のスーパーが大成功できた理由
なぜカメラにこだわり続けたのか…ニコンとキヤノンが取り逃した「半導体露光装置」という巨大市場
東京随一の"セレブ通り"を走る富裕層が「テスラやレクサス」を選ばないワケ