現代における民主主義社会においては、選挙による投票を通じて社会の民意が反映され、市民の代表である議員がその政策を立案して、社会政策として実現させるというプロセスこそが重要となる。

そのプロセスが守られて、市民がその参政権をきちんと活用し、代表である議員がその責任を十分に果たせば、革命やテロリズムが発生する余地は生まれないはずである。

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民主主義が機能していればテロは存在しえない

つまり、政治的な暴力であるテロリズムや革命が市民の側から発生する理由は、民主主義がきちんと機能していれば存在しないはずであり、また法治主義のもとにおいてそうした暴力自体は社会において認められない。

よって、そうした政治的暴力である革命やテロリズムが市民の側から発生する理由は、市民の代表である議員、首相や大臣の側にその原因があるとすることができる。一国の政府が世の中の不正を正し、公正な立場から、社会正義を実行していれば、革命やテロリズムが発生する余地はないのである。

反対に、政府における汚職や不正、不公平な政策によって市民の間に分断や不満が蓄積されることによって、テロリズムや革命といった政治的暴力が発生する。

民主主義社会において、倫理観と人道主義に基づいた政治が実現すれば、政治に暴力は発生しない。もしそのような状況で暴力が発生するならば、その暴力は悪徳による不正義であり、法の下に公正に裁くことができる。

テロリズムや革命といった政治的な暴力をなくすための根本療法は、政治が倫理観と人道主義に基づいて、公正な立場から社会正義を実行することである。それを実現するための政治倫理の確立とその実践の積み重ねこそが、根本療法である。

格差と差別が生み出す社会のひずみ

それでも、社会における格差や差別を完全になくすことは困難である。社会には個人的能力の格差、収入の格差、学業の格差、職業の格差など多様な側面の格差が存在する。そういう格差や、そこから発生する差別から社会的に排除され、孤立する個人が生まれる。

安倍元首相銃撃事件の山上徹也容疑者は、旧統一教会に多額の献金をした母親によって家族が崩壊したことを恨み、進学や就業に失敗したことを恨んで孤立化し、過激化した。「自暴自棄犯罪」を引き起こす犯人には、このように格差により社会的に孤立化した個人が多い。