日本の「過体重」実は太っていない
ややこしいのですが、この意味での「過体重」「肥満」という専門用語には決まった日本語訳がなく、いろいろな訳語が当てられています。
まず「肥満」のほうは、「太っている」よりもはるかに強い意味だと思ってください。
「過体重」のほうは聞いたこともないかもしれませんね。「肥満というほどではないが、理想的な範囲よりは重い」という意味合いの言葉です。「ちょい太り」とでもいえばいいでしょうか。
英語の文章ではこの「過体重」が断りなく出てくるのですが、こうした微妙なニュアンスを知らない人が「太りすぎ」とか「重すぎ」と訳したりすると、わけがわからなくなります。
「肥満」と「太りすぎ」ではどちらが太っているように感じるでしょうか?
「太りすぎ」のほうが太っているように思えませんか?
でも、逆なのです。「肥満」より強い日本語がないから、しかたなく「肥満」と訳しているだけです。
逆に「過体重」のほうは「太っているというほどでもない」という意味なのです。
ところがどっこい、日本肥満学会は、このややこしい「過体重」を「肥満(I度)」と訳し、「肥満」を「肥満(II度)」としてしまったのです!
なんとも言葉に鈍感なことです。医師は理系だから仕方ないのかもしれませんが、こんなふうに安直に専門用語を定義すれば誤解する人が多くなります。
そのせいで、海外で肥満とかダイエットについて書かれた文章が日本に持ち込まれたとき、おかしな具合になっているのをよく見かけます。