コロナ禍のホテルや飲食業界にとって紅茶は救世主

平成の幕が開けると、外資系ホテルが次々とオープンし、開業時に西洋文化の象徴としてアフタヌーンティーを導入するようになります。この時期になると、バブル期に海外駐在を経験し帰国したマダムや、旅行で本場のアフタヌーンティーを体験したOL層が急増し、クオリティーが格段にアップ。人気とともに、日系ホテルも続々と後を追いました。

藤枝理子『仕事と人生に効く教養としての紅茶』(PHP研究所)

令和に入ると、SNS映えを意識したZ世代の間で、アフタヌーンティーを愉しむ活動=ヌン活がブームになります。コロナ禍で海外旅行へも行けず、多くの制限がかかる中でも、プチ贅沢気分を満喫でき、インスタ映えするアフタヌーンティーは、世代や性別を超えて広がりをみせています。

ホテルや飲食業界にとっては、まさに救世主ともいえる存在。それぞれが個性を競い合う中で、茶の湯の文化とも融合し、オリジナリティあふれる日本ならではのアフタヌーンティーへと発展し、今日に至ります。

日本は異文化を取り入れ、日本らしさを加えながらアレンジし、独自のカルチャーとして育てることが得意です。日々、変容しながら進化を遂げる新しい紅茶文化は、これからも時代とともに形を変えていくのではないでしょうか。

関連記事
「毎晩1人で酒を飲む」なんてあり得ない…日本の「晩酌文化」が海外から不思議がられるワケ
なぜリベラル派はカフェでラテを飲むのか…いつの間にか情報が偏ってしまう「社会的分断」の怖さ
最後まで揺るぎない安定感があった…エリザベス女王と子供たちの振る舞いを分けた「学歴」という要素
日本の激辛料理なんて"小辛"レベル…四川省出身の中国人が「本場の激辛料理が辛い理由」を解説する
お粗末な作戦で多数の兵士を無駄死にさせているが…プーチン大統領がいまだに暗殺されない本当の理由