【村井】「僕は頭が悪いから、こうしないとすぐ忘れちゃうんだ」なんておっしゃっていましたが、「でもこれのおかげで、読みたい本100冊、これまで見た映画。全部、言えるよ」と。やり始める、やり続けるってすごい事だと思うんです。
それで僕はアドバイスをもらい1年間、ハガキを書くことにしたんです。
「意味があるのか」を考える前にまず走れ
——ハガキですか? 誰に?
【村井】総理大臣や大企業の社長。日本経済新聞を読んで「あなたはこう言っているが、自分はこう思う」みたいな。もちろん返事なんか来ませんよ。本人の手に渡る前に事務局で捨てられちゃうでしょ。でも書いているうちに、自分とは縁のない別の世界の人だと思っていた相手が浮かび上がってくる。きっと今頃はこんな風に思っているんだろうなと、総理大臣が友達に思えてくる。すると自分の世の中の見方が変わってくるんですよね。
——面白いなあ。
【村井】なんの役に立つのか。そもそも意味があるのか、ないのか。人は始める前に考えてしまいがちですが、川淵さんは「走りながら考える」という概念を提唱されました。失敗を恐れずに、まずはやってみよう。新しい概念を打ち出せば、批判や反発は当然ある。でも始めなければ何も変わらない。最初から全員が賛成することなんて、ほとんどの場合どうでもいいことなんです。