※本稿は、広岡達朗『巨人が勝てない7つの理由』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
原監督は自ら引責辞任するのが当然だ
昨季は巨人がセ・リーグ3連覇を逃し、日本シリーズで9年ぶりの日本一に挑戦することもできなかった。原辰徳監督にとっては、最悪のシーズンで3年契約の幕を閉じたわけだ。
それでも巨人は新たに原と3年契約を更新した。投打不振のなかでなんとかCS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージまで勝ち残ったのは原采配の成果と評価したのだろうが、巨人は2012年以来、日本一になっていない。なかでも原はこの3年間、日本シリーズで宿敵・工藤ソフトバンクに2年で8連敗している。
初代オーナーの正力松太郎さんは、巨人がリーグ優勝しても日本一にならなければ「ご苦労さん。よくやった」と評価しなかった。そんな風土のなかで闘ってきた私から見れば、原は日本シリーズV5を逸したソフトバンクの工藤公康監督同様、自ら引責辞任するのが当然だろう。
楽に勝つ野球のツケが回った
それでも巨人は原に「崩壊巨人」の再建を託したが、私は球界のOBとして、原には一度巨人を離れ、弱いチームや問題を抱えているチームの監督に挑戦してほしかった。
だから私は2015年に2度目の監督が終わったとき、原に電話して「次は弱いチームで教えてみろ。選手に教えて強くしたら監督として勉強になるし、本当の名監督になるぞ」と伝えた。
「巨人の監督を務めて名監督といわれるのはけっこうだけど、本当の名監督は弱いチームを強くして日本シリーズに勝つことだ。そうすれば自分も選手から教えられて、本当の野球の勉強ができるんだよ」
原はそのとき、「いやあ、いいことを教わりました」といっていたが、その後もまた巨人の監督になった。
そして相変わらず、よそのチームが一生懸命育てた主力選手をFA(フリーエージェント)やトレードで集め、オールスターゲームのような野球を続けた。昨季は4年ぶりの10連敗で3年ぶりに負け越したのも、楽に勝つ野球のツケが回ったといえる。