米国の景気後退の波が日本に押し寄せている
今後、米国の個人消費の減少はより鮮明化する可能性が高い。最大のポイントは、FRBが金融政策を引き締めなければならないことだ。それによって、米国の金利は上昇し、企業業績は悪化する。収益を守るために、雇用を減らさなければならなくなる企業は増加するだろう。それによって米国の雇用・所得環境は徐々に悪化し、個人消費が減少する。金利上昇が株価をさらに下落させる恐れも増している。
また、金利上昇によって、住宅ローンやクレジットカードローンなど、家計の利払い負担も増す。米国の個人消費には追加的な下押し圧力がかかり、米国は本格的な景気後退に向かうだろう。それが現実となれば、世界経済は下支えを失う。米中、さらにはユーロ圏などが景気後退に陥れば、わが国の実質GDP成長率の下振れは避けられない。
見方を変えれば、わが国では徐々にそうした展開に備える企業や金融機関が増え、その結果として倒産件数が増加し始めているかもしれない。ここから先、米国の個人消費が盛り上がり、世界経済全体が上向く展開を期待することは難しい。さらに、わが国の企業を取り巻く環境の厳しさが増し、倒産件数が増加する展開が懸念される。