暗記力・情報処理力ではAIに勝てない

正確さ・速さを求められる計算演習や、体験のともなわない机上の暗記勉強には、「なぜ?」「どうして?」と疑問をさし挟み、想像力をめぐらせる余地がありません。

そのため、計算能力や知識は身についても、人生で成功するための好奇心や批判的なものの見方、新しいものを生み出すクリエイティブな能力が育たないのです。

世界がIT化する前なら、暗記と情報処理能力に長けたロボット人間は重宝されたでしょう。でも、今は21世紀。誰もがスマホやタブレット端末を持ち歩く時代です。

子どもの頭をどんなにAI化しても、暗記・情報処理能力でAIに勝つことはできません。これからの時代は、IT機器やロボットに真似のできない、人間ならではの能力に磨きをかけた子のほうが豊かな人生を歩めるのです。

21世紀、お子さんの将来を大きく左右する力とは、暗記詰めこみ勉強では手に入らない、批判的・創造的・哲学的な思考力、読解力、コミュニケーション力など、ロボットが苦手とする能力に他なりません。

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「読解問題」を解いても国語力は上がらない

最後にもう一つ、国語の苦手な子がやっていて、得意な子たちがほとんどやっていないことを紹介しておきましょう。

国語の苦手な子どもたちが、読書もしないで必死に取り組んでいるのは、「読解問題を解く」という勉強法。中には、模試などで一度解いた長文読解問題を解き直すという「時間の無駄遣い」をしている子も少なくありません。

まず、ご理解いただきたいのは、読解問題をただ普通に解いて答え合わせをしても、国語の成績が上がることはないということ。

本の断片とはいえ良い文章に触れるわけですから、本人も読解問題を解いていると充実感を覚えますし、親御さんも勉強させている気分になる、というのはわからないでもありません。

ですが読解問題は、そもそも国語力を伸ばすためのものではなく、お子さんの国語力を調べて、点数や順位をつけるための「国語力チェックシート」なのです。

ですから、何題解いても国語力を伸ばす効果はあまり期待できません。

視力が低下したからと、毎日眼科に通って視力検査をしても視力が回復しないのと同じです。視力を回復させるには、視力回復トレーニングをしなくてはいけないように、国語も成績を上げたいなら「検査」ではなく、「国語脳トレーニング」をする必要があるのです。