観察力、語彙力、読解力、記述力を身につけるのが先

考えてもみてください。

お子さんをテニスの試合に出そうと思うなら、まずラケットの握り方、振り方を教え、テニスのルールを教え、筋力トレーニングをするでしょう。

ところが多くの親御さんは、国語の試合(模試や受験)にお子さんを送りこむのに、文章の読み方、書き方を教えず、ルール(文法や論理)も覚えさせず、国語脳トレーニングもしないまま「勝ってこい」と背中を押しているのです。

筋トレなし、ルールも知らずに試合に出続けて勝てるはずがありません。

学ばせる順番が逆なのです。そのため、お子さんは試合のたびにボロボロになり、劣等感を植えつけられて、どんどん国語嫌いになっていきます。

読解問題の点数や順位を人と競わせる前に、観察力を鍛え、語彙ごい力を豊かにし、読書と作文で正しい読解力と記述力を身につけてさせてあげなければいけません。

本当の学力を育てよう

私の教室では、まず、狂ってしまった学びの順番を正すため、どのような年齢で入室されても、そのお子さんの国語力に見合った「観察力トレーニング」「語彙力トレーニング」などから国語脳開発を始めます。

中には、その学びの順序をご理解いただけず、「もっと難しいことをさせたい」「難関校を受験するのだから、過去問や読解問題をもっと解かせてほしい」と退室していかれる方もいます。

ですが、いざ模試や入試などになると、進学塾で難しい過去問や読解問題をたくさん解いただけの子どもたちより、当教室でトレーニングを受けた子どもたちのほうが、圧倒的に国語の成績が伸び、入試合格率も高いのです。

それは、ガリ勉タイプの子が持ち合わせない、優れた観察力、思考力、創造力、表現力などを持っているからに他なりません。

読解問題を解かせる暇があるなら、トランプやカルタ、百人一首、ボードゲームなどで脳を活性化させたり、海や山へお子さんを連れ出して「観察力」を養ったりするほうがよほど有意義です。

久松由理『国語の成績は観察力で必ず伸びる』(かんき出版)
久松由理『国語の成績は観察力で必ず伸びる』(かんき出版)

この和歌にはどんな意味があるのだろう?
ゲームに勝つには、どう攻めればいいのかな?
海の水はなぜ満ち引きするのかしら?

お子さんの知的好奇心をくすぐり、なぜ? と疑問に思うことを本で調べさせるなどして、文章にまとめさせてみてください。

そうやって毎日、お子さんと知的な遊びや会話を楽しみましょう。

一見、受験学力とは関係なさそうに見えること。

それこそが、「真に賢い子ども」を育てている親御さんたちが、日頃ていねいにやられていることなのです。

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