子供の国語力を伸ばすには、どうすればいいのか。塾講師の久松由理さんは「とにかく読解問題を解かせようとする親がいるが、やめたほうがいい。読解問題は現在の国語力を測るためのもので、国語力を伸ばすためのものではない」という――。
※本稿は、久松由理『国語の成績は観察力で必ず伸びる』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
受験期に読書を辞めた子は成績が下がる
9歳までに、学年相応の本がしっかり読みこなせる読解力を身につけたお子さんは、10歳以降、社会で活躍するための真の賢さを培う「濫読期」に突入します。
この時期には、SFから、伝記、推理小説、ノンフィクションと、あらゆるジャンルの良書を手当たり次第に与えてください。良書選びに迷ったら、昔から名作といわれている評価の定まった本を与えておけば間違いなしです。
濫読によって膨大な知識を獲得した子どもは、やがて、その知識を組み合わせ、人が思いもつかない新たなアイデアを生み出すことができるようになります。
難関校に合格する子どもたちは、小5、小6のうちに『古事記』や『ギリシア神話』、『聖書物語』など、文学の根底に流れる思想を理解するのに欠かせない、読み応えのある良書をしっかり読んでいることが多いですよ。
私の教室では、「一日30分の読書」が唯一の宿題で、年間100冊の読書を目標にしています。
ところが、本格的受験期に入り、暗記詰めこみ勉強に追われて読書をやめた、あるいは読書量を極端に減らした子は、みな一様に思考力が低下し、国語の成績が目に見えて落ちてきます。