「介護のキーパーソン」をケアすべき

「うん、わかってる。わかってるんだけど、ひどいこと言われるとやっぱり怒っちゃう。なかなか聞き流せないのよね。

あのお母さんが、家族思いだったお母さんが、わがままで自分勝手な人になっていくことも、私としてはすごくつらかったしね。

森田豊『医者の僕が認知症の母と過ごす23年間のこと』(自由国民社)

でも、本当はこういうことを、もっと早く豊に話せばよかったんだと思う。忙しい豊にいちいち相談するのは悪い、私が我慢すればいいんだと思って何も言わずに済ませようとしたけど、ささいなことでもざっくばらんに相談して、出来事や気持ちを伝え合うべきだったのよね」

そうだ、まったく姉の言う通りだ。僕らはもっと母のことについて、情報共有をし合うべきだった。

姉のような、直接世話に当たるキーパーソンを中心に、家族みんなが情報を共有する。

「言えなかった」「知らなかった」をできるだけなくし、困り事があればみんなで話し合って解決する。

介護ケアでは、介護される人が最もものを言いやすいキーパーソンに負担がいく。

最前線に立つ姉のような立場の人が、最もつらい思いをすることになる。

そのことを踏まえて、周りの人間はキーパーソンに負荷がかからないよう、できる限りサポートしていくという体制を作るべきだったのだ。

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