選択肢が増えるだけ「みんな違ってみんないい病」
これは、対話で表出するさまざまな意見の違いを、いったん自分の中で咀嚼して、その意味を考えることをせずに、「みんな違って、みんないい」を決め込んでしまう病的状態です。
ライトな症状に「いいね、いいね病」「それな!病」という「亜種」があります。ソーシャルメディアの「いいね!」をつけるがごとく、若者の流行語である「それな!(相手の言ったことに同意・共感を示す用語)」を連発するがごとく、「みんな違って、みんないい」を決め込みます。
しかし、「みんな違って、みんないい」では、どれだけ対話をしても「相対主義(物事の価値は、それぞれ違うと考える考え方で、1つの結論には至らない)」に陥るだけです。いつまで経っても何も決まらなければ、どれだけ待っても、物事が先に進むことはありません。
話し合いとは、対話の後に、「決断(議論)する」フェイズに入らなければいけません。でなければ、いつまで経っても決まらないからです。「いつまで経っても決まらない病」と言ってもいいかもしれません。
あなたの周りには「みんな違ってみんないい病」に罹患している人はいませんか?
民主的なふり「アンケートフォームで意見すいあげちゃう病」
グループで物事を決めるときに、しっかりと「対話」をしないで、強引にアンケートフォームなどを用いて意見をすいあげてしまう症状です。経験の浅いリーダーなどが罹患しやすい傾向があります。
まず「アンケートフォームで意見すいあげちゃう病」は「独裁」ではありません。この病に罹っているリーダーは「話し合うのは面倒くさい」と思っているものの、しかしながら同時に、「独断と偏見で物事を決めてはいけない」ことは、頭ではわかっています。ですので「民主的だと思われる手段」を「形式的」に用いて意見をすいあげてしまうのです。
その結果、そうした人たちが好んで使うのが、グーグルフォームなどの無料アンケートフォーム(ツール)です。「アンケートをつくったので、そこに意見を書いてください」「ここに、はい、いいえを回答してください。理由も入れておいてください」として、URLを共有します。締切が来たら、「こんな意見が出ていましたので、こうすることにします」と、それだけで話し合ったことにしてしまいます。