「ラウンドアップの発ガン性」裁判所が否定

除草剤の危険性については裁判になっている。とくに標的となったのがモンサントだろう。

この会社の除草剤ラウンドアップ(商品名)は、なぜか目のかたきにされている。

後にモンサントはバイエル社に買収されたが、ラウンドアップへの裁判は継続していた。

2020年6月3日にアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコの控訴裁判所(日本の高裁に相当)で、バイエル社など3社が発売した芳香族カルボン酸系のジカンバを使用した除草剤について、登録を無効とする決定を下した。ようするに販売できなくした。

このニュースが世界中に配信されると、除草剤や遺伝子組み換え作物の反対派は「アメリカは、除草剤禁止に舵を切ったぞ」と歓声を上げた。

ところが同じ月の23日には、アメリカ合衆国控訴裁判所が、カリフォルニア州当局に対しグリホサートを主成分とする製品(ラウンドアップ関連製品)に発ガン性物質が含まれるという警告文の表示を永久に禁じる判断を下した。

言い換えれば発ガン性の心配はない、という結論を出したわけである。

「風で飛散しやすかった」ことが原因?

いずれの判決も、ちょっと説明がいる。

アメリカでは1980年代より農家がグリホサート系除草剤を使ってきたが、2000年代に入ると耐性を持つ「スーパー雑草」が次々と出現していた。

この「スーパー雑草」に対抗する「スーパー除草剤」として登場したのが、ジカンバ系除草剤だ。

そしてジカンバに耐性を持つ遺伝子組み換え作物も開発された。この作物を栽培しつつジカンバ系除草剤を散布すれば、雑草だけが枯れるわけだ。

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ところがこの薬剤は、風に飛散しやすい。そのためジカンバ耐性のない作物を栽培していた農地まで飛んでしまい被害を出したのだ。