今年2月には、小室さん夫妻が暮らすマンションそばで銃撃事件が起きた。週刊新潮は政府関係者の話として「日本の警察からNY総領事館に出向している警察官2人が毎日小室さん宅の周囲の見回りを行っている」「2人の警備をNYの民間警備会社に委託する案も浮上しており、その費用にいわゆる外交機密費を充てる案も検討されている」と報じている。

小室さんの母親の金銭問題を巡り、世間の批判にさらされた眞子さんは結婚に際し1億円超とされる「一時金」を辞退した経緯がある。その眞子さんが血税を原資にした民間警備会社による「年間8億円超」(週刊新潮)もの高額警備を望むとはとても思えない。「そもそも皇室の公務を担わない元皇族に身辺警護をつける必要などあるのか」という指摘もある。

王室を離脱したヘンリー公爵は警護レベルが下がった

NYに移り住んだ小室さん夫妻とよく比較されるのが自由を求めて英王室を離脱して米国で暮らすヘンリー公爵夫妻である。

ヘンリー公爵とメーガン夫人は「フルタイム」から「パートタイム」の王族になって公務を減らす一方で経済活動の自由を求めたが、王室との交渉は決裂。2020年1月、公務をすべて投げ出して英王室を離脱した。翌2月、英内務省が管轄する王室・公人警護執行委員会(RAVEC)はヘンリー公爵にこう告げた。

「ヘンリー王子とその家族に対して“フルタイムの現役王族”として受けていたレベルの個人的な身辺警護はもはや与えられない」――。08年と12年に英陸軍の一員としてアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバン掃討作戦に従軍したヘンリー公爵はイスラム過激派のテロに狙われる恐れがある。そのためヘンリー公爵は妻や子供の安全を求めている。

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ヘンリー公爵は同等の警護を求め司法審査を請求

昨年9月、ヘンリー公爵はRAVECの決定を不服としてプリティ・パテル英内相(当時)を相手取り司法審査を請求した。英高等法院の判事は今年7月、請求の一部を認め、英BBCは「これでヘンリー公爵はRAVECの意思決定とその方針の透明性の欠如、身辺警護レベルに関する決定が合理的であるかどうかを争う権利を獲得した」と伝えた。

しかし異議申し立てが認められることと、異議申し立てに勝つことの間には天と地ほどの大きな開きがある。英国の事務弁護士で法律評論家兼ジャーナリストのジョシュア・ローゼンバーグ氏は有料コラム「法律家が書く」の中で「もしヘンリー公爵が敗訴すれば、政府の訴訟費用まで負担しなければならなくなる」と指摘する。

以前と同じレベルの身辺警護が受けられないことが不服なのか、それとも現役王族でなくなった現実を受け入れることができないのか、とローゼンバーグ氏は首を傾げる。RAVECは王室や公人のために警察が提供する公費による身辺警護レベルを決定する委員会だ。