筆者も使ってみたことがあるが、自動的に正確な自宅の位置が地図上に示されたため、ヒヤっとした。ゴースト機能の「あいまい」と「フリーズ」設定を使えば特定の相手に対してマークを非表示にできるが、設定しなければフレンドには筒抜けだ。しかも滞在している時間の長さまでわかってしまう。

大体の位置ではなく、正確にどの道を通っているのかもわかるので、待ち伏せも容易にできると感じ、やはり恐ろしくなった。友人にはここまで正確な位置情報を共有したいとはとても思えなかったが、家族同士で共有するならたしかに便利そうだと感じた。子どもの居場所を見れば、どこで何をしているのかなどが連絡しなくてもわかるだろう。

ある中学校ではクラスの半数が利用

SNSで知り合っただけの相手と位置情報共有アプリでつながるというのは、大人世代からすると驚きを感じるかもしれない。しかし、若者の間で流行しており、ある中学校で聞いたところ、クラスの半数近くが利用していたこともある。

SNS上で気軽にフレンド募集し、SNSにおける知り合い同士がつながることも珍しくはないのだ。北九州市の事件で被害に遭った女子高生のケースも、相手との距離が「福岡―東京」と離れていたことも、あまり警戒感を持たずにつながる理由となった可能性がある。

なぜ若者たちは、自分の位置情報をフレンド同士で共有するのだろうか。例として、ある女子高生の使い方をご紹介しよう。

「今どこ?」と尋ねる親に返事をするのが面倒

「友達とつながってると、待ち合わせ場所を詳しく決めなくても会えるから便利」と彼女は言う。「○時に渋谷」くらいの約束をしておき、Zenlyで正確な場所を確認して会うのだそうだ。また、「今いる場所だけでなく、移動速度や滞在時間もわかるので、それによってわかることも多い」という。

「『今ひま?』とか聞かなくても、『ずっと自宅にいるから暇そう』『バイト先にいるから今は無理だろう』とかわかる。『この速度なら自転車か歩きかな』とか、『駅前で何人か一緒にいるから、今行けば合流できそう』とか」。スマホをなくした時に、友達にZenlyで探してもらったこともあるそうだ。

「親から『今どこ?』とか連絡もらって返事するのが面倒だから、親ともZenlyでつながってる。居場所はわかるし、返事しなくて済むから楽だし」

居場所を親や友達に知られていることはストレスではなく、居場所もコミュニケーション情報の一つであり、うまく使えば便利に使えるという考えなのだ。

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