若者に人気の位置情報共有アプリ「Zenly(ゼンリー)」が「数カ月後にサービスを終了する」と発表した。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「運営会社Snapのアプリ『Snapchat』にも類似機能があり、そちらに統合したいと考えた可能性がある。自分の居場所を共有する需要は高く、今後も類似サービスは増えていくだろう」という――。
スマホでGPSによる位置情報を確認する手元
写真=iStock.com/Tonktiti
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少年はどうやって少女の自宅を突き止めたのか

ことし8月、福岡県北九州市で母親と高校1年の娘(15歳)が自宅に帰宅したところを刺される事件が起きた。一部報道によると、娘と犯人とされる17歳の少年はSNSを通じた知り合いで、娘は「少年は位置情報共有アプリで得た情報から自宅を特定したかもしれない」と証言しているという。

事件は次のようなものだ。2人が自宅で刺された後、現場から約700メートル離れたJR南小倉駅近くの踏切で人身事故が起き、東京に住む17歳の少年が死亡。女子高生は「刺したのは少年」と話している。

事件前、女子高生は怖さを感じたため少年との連絡を絶っていた。そしてある日突然、少年が自宅に現れて母娘を刺したというのだ。つまり、SNSだけしかつながりのない相手と位置情報共有アプリを利用したことで、傷害事件につながった可能性があるというわけだ。

友人たちと「たった今いる場所」を共有

位置情報共有アプリの中で一番人気が高いアプリが「Zenly」だ。Zenlyはフレンドになることで、たった今いる場所だけでなく自宅や学校の場所、スマートフォンの電池の残量を共有できる仕組みとなっている。

Zenlyでは、利用開始してから約72時間が経つと自分の行動範囲が判定され、夜間を過ごした場所に「家マーク」、勤務先と判定された場所に「パソコンマーク」、学校と判定された場所に「帽子マーク」が自動的に表示される。つまり夜間を過ごした場所を自宅、日中などに長時間過ごした場所を学校または勤務先等と判定しているのだ。

「STRATE」が2021年に行ったアンケート調査では、全国の15歳~29歳の男女のうち、Zenlyなどで恋人とお互いの位置情報を共有している10代は30%に上った。20代は16.5%で、10代の若者を中心に利用されていることがわかる。