親が絶対に今すぐ「やったほうがいい」こと

私はこれまで、おびただしい数の研究論文を読んできたが、当初はこのようなテーマを扱う研究に出くわすたびに、拒否反応を起こしていた気がする。その内容を、真に受けようとしなかった。

たとえば子どもが毎日15分遊べば、読書や勉強をしなくても読解力や計算力が上がるなどという話を知ると、あまりにもできすぎだと感じたものだ。

あなたも同じ思いを抱いているのなら、ぜひこの章で読んだ内容をじっくり検討してほしい。そして、その意味をよく考えてほしい。

すべて理解すれば、子どもが運動すると学力が上がるだけでなく脳全体の機能も向上するという、にわかに信じがたい話にも納得がいくはずだ。

身体をよく動かせば、ちょうど筋力トレーニングで筋肉が鍛えられるように、灰白質と白質の働きが強化される。したがって運動をすれば、子どもでも大人でも知能が高くなる。

嘘のような話だが、これは正真正銘の真実だ。だとすれば、今すぐ子どもたちに言おう。タブレット端末やスマートフォンを置いて、もっと身体を動かそう、と。わが子の頭がよくなることを願わない親などいないはずだ。

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すばらしい効果が“ついでに”得られる

あなたは、本稿で紹介した事実に面食らっただろうか。じつは、私もそうだった。

あまりの驚きに何度か読み返し、自分が読み違いをしていないかどうか確かめもした。いったいなぜ、このことが一般的に知られていないのか。その理由は、運動がうつ病におよぼす効果の場合と同じく、やはりこの一言につきる。「お金」である。

もし薬やサプリメントに運動のような効果があれば、買う人はあとを絶たず、1人としてそれを知らぬ者はいなかったはずだ。子どもでも大人でも、運動をすれば脳にこんなにすばらしい効果がある。これを知らない人がいること自体、不思議であり残念なことだ。

薬やサプリメント、コンピュータゲーム、認知トレーニングとは違い、遊びやウォーキング、ランニングのような活動には費用がかからない。そして、どんなサプリメントもかなわない、たくさんのすばらしい効果が“ついでに”得られるのである。