リーダーの役割は「やめるきっかけ」をつくること

だからこそ「やめる」は、リーダーから切り出し、きっかけをつくることが重要です。適宜リーダーから「やめたほうがいいことってなんだろう」と投げかけてみましょう。

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OK例
A「これから新規加盟店が1店舗増えるという連絡がありました。都内の大型店です。私も、ブランド強化という意味で、歓迎したいことだと思っています」
B「はい! われわれにとって、念願の都内初出店ですね!」
A「そこで「やめたほうがいい』タスクを洗い出したいと思います」
B「え? 『やめたほうがいい』ってどういうことですか?」
A「出店後、私たちの稼働やタスクは、今よりかなり多くなることが予想されます。連絡調整業務はもちろん、時にはあちらの店舗スタッフのトレーニングや、ヘルプでの派遣も想定されます。とはいえ、私たちチームの人員がすぐに増えるわけではありません。やめることができるタスクがないか、現在の業務フローを見直してみましょう」
B「えーと……(それでも言いづらそう)」
A「もし、何かひとつ、絶対にやめないといけないとしたら、何をやめますか?」
B「……月次の、××報告書の○○って、実は誰も見ていない数字なんじゃないかなと」

「頑張りすぎ社員」には早めの「助け舟」を

もちろん「業務改善」や「新しい動き」を否定するわけではありません。より万全な体制で新しいことを試し、受け入れていくために「やめることを見つける」イメージです。

原田将嗣『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』(飛鳥新社)

この言葉はメンバーを守ることが目的である点にも注目です。メンバーの負荷が過重になるのを未然に防ぐため、あえて「やめたほうがいいことを探している」わけです。倒れてしまう前に、早期に負荷を減らしておいたほうがいいでしょう。

メンバーが、せっかく頑張ってくれているからこそ、言いづらい場合もあるでしょう。そんなときは「○○さんの時間と才能を、もっと重要なところに使ってもらいたいから……」といった枕詞をつけて、声かけをしてみてもいいでしょう。

リーダーとしては、時に上司と掛け合うことも視野に入れてください。私たちのチームでも、会社の大きなイベントの際に経営陣と話し「2週間、新規の商談を止めよう!」という営業部らしからぬ意思決定をしたこともあります。それでも忙しかったイベントをなんとか成功裏に終えたあと、経営陣から「あれは英断だった」と絶賛されました。

私たちが目指す心理的安全性の高いチームは、問題やリスクに気づいたとき、メンバーが自発的に声を上げられるチームです。そこに至る過程では、リーダーが先回りして「やめたほうがいいことって、なんだろう?」と、助け船を出していきましょう。

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