宴会は朝から始まっている

コロナ前には、血糖値が安定しない患者さんや体重がなかなか減らない患者さんから、「いやあ、宴会続きで……」という言い訳をよく聞きました。

でも、宴会があることは、たいてい朝には分かっていますよね。

であれば、朝食と昼食でバランスをとることはできます。

「宴会は、朝から始まっていると思ってくださいね」

そんなふうに、患者さんには冗談交じりに伝えています。

朝・昼・夕食のうち、どれかが糖質過多になったら、他のタイミングで調整することを習慣にする。“なんちゃって”ですから、そのぐらいのゆるさでOKです。

これなら、どんな生活スタイルの人も、ガマンなく続くのではないでしょうか。

スイーツはガマンしなくていい

甘いものが好きな人は、スイーツもガマンしなくてOKです。

「朝起きてから寝るまでの間の1日トータルで、糖質やカロリーをとりすぎていなければいい」というのは、もちろん間食も含めてですから。

いただきもののスイーツがあったり、「今日は甘いものが食べたい」といった日には、私も、おいしくいただいています。

その代わり、間食としてではなく、お昼の主食として食べています。

野菜ジュースや青汁を飲んでからケーキを食べたり、野菜の入ったスープやサラダを食べてからケーキを食べてランチは終わりというようにです。

食べる順番については次の項目で説明しますが、先に野菜を食べることで血糖値が上がりにくく、お腹いっぱいにもなります。

ご飯やパンも、スイーツも、同じ糖質です。おにぎり1個とベーグル1個、ショートケーキ1個は、だいたい同じぐらいの糖質量です。

スイーツで糖質をとったら、ご飯やパンを抜く。ごくシンプルなルールです。

スイーツはガマンしなくていいので、主食だと思っておいしくいただきましょう。

ただし、これは裏ワザなので、毎日・毎食はおすすめできません。週2回ぐらいまでと心得ておきましょう。

イラスト=なかきはらあきこ
池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)より

「お腹が空いたからまず炭水化物」はNG

お腹が空いたから、まずは炭水化物を……。

空腹のときほど、食べやすい炭水化物に手が伸びそうになりますが、これはNGです。

一番血糖値を上げやすい食べ方だからです。

食後の血糖値の急上昇を抑えるには、食べる順番が大切です。「まず野菜から」は、かなり常識になってきました。「ベジファースト」と言われることもあります。

なぜ、「野菜から」がいいのでしょうか? 改めて説明すると、野菜は食物繊維が多いからです。食物繊維は、糖質が体内で分解・吸収されるスピードをゆるやかにして、食後の血糖値の急上昇を防いでくれる、ありがたい存在です。

中性脂肪やコレステロールを便として排泄する手助けをしてくれるし、ナトリウムを排出する働きもあるので、脂質異常症や高血圧の予防にも役立ちます。