「まともな戦略や計画は存在しなかった」

驚いたことに、司令官たちは、まともな戦略もなしに戦争をしようとしていたことを認めた。

「作戦計画はなかった。とにかくそういうものは存在しなかった」。そう不満を述べるのは、ブッシュ政権〔2001年~2009年のジョージ・W・ブッシュ政権〕時代に米軍司令官を二度務めたダン・マクニール陸軍大将である。

「一貫した長期的戦略はなかった」と語るのは2006年~2007年に米軍およびNATO軍を指揮したイギリスのデビッド・リチャーズ将軍だ。

「われわれは単一の首尾一貫した長期的アプローチを――すなわち適切な戦略を――手に入れようとしていたが、その代わりに手に入れたのはたくさんの戦術だった」。

その他の高官たちによれば、アメリカは最初から戦争でしくじっており、失敗を犯したうえに、誤判断や誤算を重ねていたという。

「無駄だったなんて言えない」米兵2300人が死んでいった

「われわれは自分たちが何をしているのかわからなかった」と語るのは、ブッシュ政権で南アジアおよび中央アジアを担当したトップ外交官、リチャード・バウチャーだ。

同様に「われわれは自分たちが何をしているのか、皆目見当もつかなかった」と口にするのは、ブッシュおよびオバマ政権下でホワイトハウスの「戦争の皇帝」〔イラクとアフガニスタンでの軍事作戦を統括する大統領補佐官および国家安全保障問題担当副補佐官の、マスコミでの呼び名〕ダグラス・ルート陸軍中将だ。

ルートは、ひじょうに多くのアメリカ兵が命を落としたことを嘆いた。それどころか、中将として守るべき慣習を大きく逸脱して、ルートはさらに、政府がそれらの犠牲を無駄にしたことを示唆した。

「アメリカ国民がこの機能不全の大きさを……2400人の命が失われたことを知っていたら」とルートは言った。「まさかそれが無駄だったなどと誰が言えるだろう?」。

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20年以上のあいだに、77万5000人以上の米兵がアフガニスタンに配置された。そのうちの2300人以上が現地で死亡し、2万1千人が負傷して帰還した。米国政府は、戦争関連費用の包括的な合計を計算していないが、1兆ドルを超えているというのが大方の見積もりだ。