強調するのは「可動域」「下肢の強化」「体幹強化」

「ドラフトで8球団から1位指名を受ける」という夢を達成するために必要な八つの要素をそれぞれ具体化した項目を抽出した。

米大リーグの球宴に投打で出場したエンゼルスの大谷=2021年7月13日、デンバー(写真=時事通信フォト)

「体づくり」:①体のケア、②サプリメントを飲む、③FSQ(スクワット)90kg、④RSQ(同)130kg、⑤食事 夜7杯朝3杯、⑥可動域、⑦スタミナ、⑧柔軟性

「コントロール」:①インステップ改善、②体幹強化、③軸をぶらさない、④不安をなくす、⑤メンタルコントロールをする、⑥体を開かない、⑦下肢の強化、⑧リリースポイントの安定

「キレ」:①角度をつける、②上からボールをたたく、③リストの強化、④下半身主導、⑤可動域、⑥回転数アップ、⑦ボールを前でリリース、⑧力まない

「スピード160km/H」:①軸でまわる、②下肢の強化、③体重増加、④肩周りの強化、⑤ピッチングを増やす、⑥ライナーキャッチボール、⑦可動域、⑧体幹強化

「変化球」:①カウントボールを増やす、②フォーク完成、③スライダーのキレ、④左打者への決め球、⑤奥行きをイメージ、⑥ストライクからボールに投げるコントロール、⑦ストレートと同じフォームで投げる、⑧遅く落差のあるカーブ

「運」:①あいさつ、②ゴミ拾い、③部屋そうじ、④審判さんへの態度、⑤本を読む、⑥応援される人間になる、⑦プラス思考、⑧道具を大切に使う

「人間性」:①感性、②愛される人間、③計画性、④感謝、⑤継続力、⑥信頼される人間、⑦礼儀、⑧思いやり

「メンタル」:①はっきりとした目標目的をもつ、②一喜一憂しない、③頭は冷静に心は熱く、④雰囲気に流されない、⑤仲間を思いやる心、⑥勝利への執念、⑦波をつくらない、⑧ピンチに強い

体を使った練習を頭を使って定着させる

これは、大谷選手の母校・花巻東高校野球部の佐々木洋監督が、自身の経験から「夢と目標と決意を明確にさせるため」に、部員全員に書かせた「目標達成シート」だ。

『プレジデントFamily2022年夏号』

「中学や高校の運動部では、達成シートや練習ノートを書かせるところが多いですが、やはり大谷選手のものはスケールが違います。『スピード160km/H』とありますが、その時点でそこに手が届きそうだったということでしょう。すでに大物だったことがうかがえます」

こう語るのは、多くのプロアスリートをサポートしてきたメンタルトレーナーの高畑好秀さんだ。

「達成シートに夢と目標を書いて可視化させ、練習ノートでその日を振り返る。これが大事です。ノートに書くためには練習内容やコーチに言われたことを思い出し、それを言葉として整理する必要があります。体を使った練習を、頭を使って定着させるんですね。それが次の練習に活きていく。書くことで論理的に考える力も養われます」