40代のときと比べ、コーチとしてどう変わったのかを聞くと、「トシをとるにつれて、観察力が鋭くなってきた」と分析する。重要なことは、周りで何が起きているのかを観察し、何をすればいいのかを考えることなのだ。

「とくに負けたときは何を見逃したのだろうと自分に問いかけることが多い」

そういえば、エディーと話をするときはまず、こちらが観察されている。

「左胸のバッジは何?」など聞いてくる。試合中、エディーは観客席ではなく、グラウンドのサイドラインのそばに立つ。小さな黒表紙の手帳を持って。

なぜ。

「選手のプレーやボディランゲージを観察するためです。選手のエネルギーのレベル、コミュニケーションもよくわかる。ポイントはすぐ、メモします。ははは。サラリーの査定のためではありません。勝つためです」

さて、肝心のチームビルディングである。強い組織をどう、つくっていくのか。まず「リーダーシップ」を明確にする。意思系統を整理し、意思疎通を図りやすくするのだ。

2年前の春、エディーは監督の座に就くと、3つのグループを設置した。

「キャプテンズ」と「ゲームリーダーズ」「ロッカーズ」だ。キャプテンズは主将、副主将らで編成され、練習の運営を担当する。ゲームリーダーズでは、FW、バックスのゲームリーダーなどが集まって、戦術を組み立てる。

ロッカーズは、グラウンド以外のチーム運営全般をカバーする。44人の選手を4つのグループに分け、更衣室や風呂場の掃除を振り分けたり、イベントで互いを競争させたりする。

1グループが11人。

「30人以上になると、意思疎通をコントロールしにくくなる。10人ぐらいだと、互いの意思がとりやすい。グループを競争させることで、プライドやレスペクト(敬意)が生まれ、より信頼関係が強くなるのです」