コンパクトで便利な「終の棲家」を
新居は、通院なども視野に入れて、それまでと同じエリアで探すことにした。
「予算ありき」で候補を絞り込み、気になった新築マンションのモデルルームや、中古マンションなどを複数、内見してみることにした。購入費用は、旧居の売却代金と、退職金などを合わせた貯金でまかない、現金で一括購入するつもりだ。
すると、いくつか見た中で、旧居と同じ最寄り駅から徒歩5分にある、築24年の中古マンションが目に止まった。2LDKで58m2。間取りも広さも申し分ない。
現況での引き渡しのため、相場と比較して価格も安価であった。2人の意見が一致し、この中古マンションを購入すると決めた。
中古マンションを購入、フルリノベーション
築年数が経っていることから、それなりに傷みが進み、設備も古くなっている。夫婦2人の「終の棲家」にすることを考えれば、快適に住むには何らかリフォームが必要である。
そこで、約1000万円の費用をかけてフルリノベーションを行うことにした。
見積もりの取得などは大変だったが、数カ月後には、2人の希望どおりの部屋に仕上がった。
中古物件だが、室内は新築そのもの。キッチンや浴室の設備は新品に入れ替え、段差は解消されてバリアフリー対策もバッチリ。とても快適である。幸い、旧居もすぐに買い手が見つかり、買い替えはとてもうまくいった。まさに順風満帆である。
ここまでは──。
想定外の大規模修繕工事一時金
新居に引っ越ししてから半年ほど経ったある日のこと。郵便受けに「大規模修繕工事に関する説明会のご案内」と題した書面が投函されていた。管理組合からだった。
添付資料によると、2回目の大規模修繕を検討しているものの、人件費や建築資材などの高騰で、管理組合で積み立ててきた修繕積立金残高だけでは費用が足りず、一時金が発生しそうである、と書かれている。
管理組合主催の説明会に参加して話を聞いたところ、戸当たり60万円ほどの一時金が想定されているという。
買い替えしたマンションの戸数は53戸。1回目の大規模修繕は約5000万円だったが、2回目は8000万円近くかかる見込みだという。戸当たり負担で考えると、1回目が100万円弱だったところ、2回目は150万円と約1.5倍に上がっている。