なぜかマンスリーマンションに仮住まいする羽目に
2人の生活は、なお落ち着かない。
大規模修繕を終えたばかりのマンションの共用部分についても、吉井夫婦のラインだけ、ふたたび足場がかけられ、補修工事が行われるという。火災で建物のタイルが焼けたり、スス汚れしたりしたため、修繕が必要になったのだ。
そのため吉井夫婦は現在、マンスリーマンションに仮住まいしている。
新居に住むためにはリフォームが必要だが、再度フルリノベーションを行うとなったら、保険金ではとうてい足りない。また、住めない部屋とはいえ、毎月管理費や修繕積立金、固定資産税などは支払わなくてはいけない……。
「これから一体どうすれば」
保険金の使い道は自由だという。どうするのが「正解」なのか。
正直なところ、気力も体力も残っていない。買い替え時には、集合住宅は消火活動による水漏れ被害があるかもしれないということは頭の片隅にもなかった。
築浅マンションほど構造がしっかりしていて、水漏れ被害を防げることが多いそうだ。ならば、新築マンションや築浅マンションを選択すべきだったのだろうか。そもそも築古マンションでも、別のマンションを選んでいればよかったのか……。
「運が悪かった」と言えばそれまでだが、万全だと思った終の棲家は、ちっとも万全ではなかった。
「私たちはこれから一体どうしたらいいのだろう……」と悩む吉井夫妻である。