相続税対策のためにタワマンを購入する人が増えている。オラガ総研の牧野知弘さんは「すでに首都圏では900棟のタワマンが乱立している。価値が維持できればいいが、価値が下がってしまえば、自分の身を滅ぼす刃になるだろう」という――。

※本稿は、牧野知弘『不動産の未来 マイホーム大転換時代に備えよ』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

彼の頭を持つ男性
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不動産による相続対策は「ぴえん」である

不動産投資は出口があって初めて結果が出る。不動産を使った相続対策には所得税対策で始めたワンルームマンション投資よりも厳しい未来が待っていそうだ。

アパート投資による節税は、ワンルームマンション投資と構造的にはよく似ている。節税だけに目的を絞り、需給バランスにほとんど目を向けなかったことから、競合が続々誕生する。

テナントがつかなければ運用収入がなくなる。賃料保証がある期間は安心だが、保証期間が切れると地獄の幕開けである。

アパートは賃貸マンションよりも安普請のものが多いため、大規模修繕や設備機器の劣化も早い。こうした工事関係も当初のアパート業者が仕切る。他社に頼めば、賃料保証は受けられなくなる。悪循環である。

マーケットから放り出されたアパートは相続されたのちも子供たちがこれを引き継ぐことになる。資産性がある優良な賃貸資産であればよいが、田園地帯にたたずむ(そのころには)ややくたびれてしまったアパートを相続した子供たちの未来はどこにあるのだろう。

借入金をなるべく多く調達すれば、節税効果はさらに増します、と言われていたはずだ。その借入金の元本は、あまり減ることなく子供たちに引き継がれているはずだ。

貸した金返せ、の声がリフレインする。だが返済原資であるはずのテナント賃料がままならない。SNS上で流行の表現を借りれば「ぴえん」である。アパートも売却できればよいが、どうだろう。

田園地帯の中にある、空き住戸の多いアパートを何の理由で買う投資家がいるというのだろうか。