「金パブ」「Sブロ」と呼ばれている市販薬

近年、薬の「オーバードーズ(OD)」が問題視されています。ODとは、薬を一度に大量に内服することをいい、NHKでは「市販の薬を過剰に摂取することで、精神的苦痛から逃れる『オーバードーズ』に走る」若者が増えていることが報じられていました(NHK首都圏ナビ2021年7月1日)。

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ここでは、ODをしてしまう人が大量内服するとされている風邪薬の危険性を説明しましょう。俗称として、「金パブ」、「Sブロ」と呼ばれている薬です。

「金パブ」というのは、パブロンゴールド®、「Sブロ」というのはエスエスブロン錠®のことを指します。共通して含まれる成分は、中枢性麻薬性鎮咳薬であるジヒドロコデインリン酸塩、気管支拡張薬であるメチルエフェドリン塩酸塩、第1世代抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミンマレイン酸塩の3つです。

大量に内服することでトリップ状態になる

これら3つは、他の有名な総合感冒薬にも主配合成分として入っていることが多いものです。大量に内服することで夢うつつな感覚、いわゆるトリップ状態になるため、現実逃避のために使われてしまうのです。

商品によっては、第1世代抗ヒスタミン薬の成分が、クレマスチンフマル酸塩であったり、ジフェンヒドラミンだったりすることもあります。クレマスチンフマル酸塩は眠気が強く出るため、乗り物酔いの薬の主成分として配合されたりしますが、花粉症などのアレルギー性鼻炎薬にも含まれているものがあります。

ジフェンヒドラミンは、じんましんの薬としてのレスタミンコーワ糖衣錠®として販売されており、これを大量内服してもトリップ状態になり得ます。「レタス」という隠語で呼ばれているようです。ドリエル®などの睡眠改善薬として販売されている薬剤に使われている成分です。