既存のグループを圧倒した、人気の秘訣3要因
BTSの成功要因を分析する情報は数多くあり、その内容を総合すると次のようになります。
①既存アイドルグループとの差別化
BTSはヒップホップアイドルグループとしてデビューし、ダンスミュージック中心の既存アイドルと音楽的な差別化を図りました。
だからこそ、アンダーグラウンドで有名だったラッパーのRM、SUGAをキャスティングし、RMを前面に押し出してヒップホップアイドルグループというコンセプトを打ち出したのです。
初期は既存アイドルとは異なるイメージと目新しいコンセプトで、約25万枚のアルバムを売り上げました。2020年2月現在では、韓国音楽業界史上初となる累積販売数2000万枚を突破しています。
②SNSを活用したコミュニケーション
BTSのデビュー当時、アーティスト個人やグループが自身の公式SNSアカウントを運営することは管理の面からリスクが大きいと考えられており、ファンとのコミュニケーションが制限されていました。
BTSはこのような慣例を破り、SNSを積極的に活用しました。
もちろん失敗もありましたが、ファンと直接コミュニケーションを取りながら、それぞれの魅力と個性を自然にアピールしました。
新人グループであることに加えて、プロダクションの規模が大きくないため、メディアへの出演も限られていました。自分たちの音楽や物語を伝えるためにSNSを積極的に活用しはじめたことはよく知られていますが、まさにピンチがチャンスとなったケースです。
ユーチューブ・SNSで365日休みなしに日常を公開
フランスの公営ラジオチャンネルFrance Culture(フランス・キュルチュール)は、「グループの人気を押し上げたのは、テレビやラジオではなくSNSだった」と、SNSをBTSの世界的な成功要因のひとつだと分析しました。
BTSのファンダムであるARMYの積極的に周囲に広める布教活動や支持がなければ今の成功はなかったと指摘するほか、Big HitエンターテインメントのWeverseなどの独自のプラットフォームを通じてアーティストの日常を見せるさまざまなドキュメンタリーやリアリティ番組が、グループのイメージ管理に大きな役割を果たしたと分析しています。(※)
※韓国コンテンツ振興院、「ウィークリーグローバル」189号、2020年9月15日
先の分析のように、BTSはそれまでのアイドルが守ってきた、アルバムの活動期に公式チャンネルを通じて純度の高いコンテンツだけを公開するという慣例を破りました。
365日休むことなく、多様なコンテンツをSNSやYouTubeを通じて公開することによって全世界からファンを集め、その支持を手にしたのです。このようなBTSのやり方は現在、他アイドルのSNSやコンテンツ制作、運営に大きな影響を及ぼしています。