「BOYA」実現の要件は「FIRE」より圧倒的に緩い
「BOYA」を目指すために必要な要件は、
②その後も仕事をくれる人々との関係維持
③それまでの職業人生で得た達成感
④多額の給料・ギャラよりも心の安定と休息、そして娯楽を重視する姿勢
⑤趣味の仲間や地域コミュニティーとの良好な関係
と、私は考える。
「FIRE」を実現するには「投資のタネ銭となる1億円を貯める」「運用益を上げる」といった「現実(リタイア後の生活を維持するためのシビアな条件)」が必要になる。一方、「BOYA」の場合、基本的には「それまでの職業人生で十分達成感を得られた」「もはや仕事人生に悔いなし」といった「精神論」だけでも実現できるのである。並行して、仕事と完全には縁を切らず、ある程度は社会とのかかわりも持ち続けて、生活のセーフティーネットを維持すればよいのだ。これならばプレッシャーは少ない。
ちなみに、資産運用を土台にした「FIRE」の文脈では、年利4%程度の利回りを前提にして収益構造を解説する例が多い。1億円の原資があれば、それを元手に年間で400万円ほどの運用益が得られる、という寸法だ。ただ私の場合、投資はしていない。完全に塩漬けになってしまった株やら国債やらを保有してはいるが、基本、これらの投資収益に生活費を依存しているわけではない。
遠く離れた場所への転居も「BOYA」の実現に有効
それまで生活してきた場所から、あえて遠くに転居してしまうというのも「BOYA」の実現に有効な手段である。
知り合いが多い場所や、仕事仲間が多数いる場所に住み続けると、どんなに「BOYA」をしたくなったとしても、周囲の人々が放っておかず、結局以前と変わらない仕事ぶりになってしまう可能性があるのだ。「おっ、悠々自適の生活をしているんだったら、ちょっと仕事を手伝ってよ♪」なんて請われたりすると、「自分にもまだまだニーズはあるんだな」と嬉しくなって引き受けてしまい、気が付けば仕事に忙殺される日々に逆戻り……。これでは、単に転職をしただけのような状態になりかねない。
その点、物理的に距離が離れると、関係性もある程度はリセットされるので、思い付きで急に仕事を振られたりすることがほぼなくなる。仕事を振ってくれるにしても、こちらの現状や距離を考慮して、できるだけ負担にならないような形で打診してくれるケースが多い。