元ソ連のジャーナリストであり、現在はイスラエルで活動するマーク・コトリャースキ氏は、「ブロヒン・センターの建物のひとつで、緊急体制が敷かれた」と語った。手術棟が封鎖され、そのほかの患者たちが追い出されており、非常に高度なセキュリティー体制となっているという。ただし、現地で撮影された動画からは特段の警備体制は確認できておらず、現在は当該の体制が敷かれていない可能性もあるようだ。

氏はさらに、「この病気は進行性が強く、手術でもそう長くは延命できないだろう」「情報筋は、もって3~4カ月だとしている」との分析を示している。今年10月に70歳を迎えるプーチンが、度重なる手術にどこまで耐えられるかは不透明だ。

打ち消しに走るロシア外相、ウクライナ側も数年は存命と分析

重病報道が相次ぐプーチンだが、クレムリンは打ち消しに躍起だ。英インディペンデント紙によるとロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、フランスのTV局のインタビューに応じ、「まともな人間」であればプーチンが病気などとは考えないだろう、と激しい口調で一連の報道を非難した。

病状に最大の関心を寄せているであろうウクライナ側も、すぐに政権が崩壊するとの見方には慎重姿勢を示す。デイリー・メール紙によると、キーウの諜報部隊を取りまとめるカイリオ・ブダノフ少将はウクライナ・プラウダ紙によるインタビューに応じ、プーチンが「がんを含む複数の深刻な病」を患っているとの認識を明かした。

ただし、「プーチンが明日死ぬと願っても無駄だ」とも述べ、「あと数年の命がある。好むと好まざるにかかわらず、これは事実だ」としている。一方、プーチンは躁うつ状態にあるとの分析は正しいとしている。プーチンは後継者たちが自身の死を望んでいることに気づき始めており、ごく少数の側近たちを除き距離をおいているとの近況も明かした。

「プーチン支配の終焉が近いことを誰もが感じている」

米ニューズウィーク誌は6月2日、米諜報機関による情報をもとに、プーチンは4月に進行性がんの治療を受けていたと報じた。アメリカの複数の諜報機関がロシア情勢を継続的に評価しており、5月末にまとめられた4回目の総括評価報告書のなかで、がん治療を受けていたことが明言されたという。

この報告書は機密扱いだが、閲覧が許された諜報機関幹部は同誌に対し、「プーチンの支配力は強固だが、もはや絶対的ではない」と語った。この幹部職員は、「クレムリン内部の(支配力をめぐる)攻防は、プーチンの支配下ではこれまで起き得なかったほどに活発化しており、終焉が近いことを誰もが感じている」と指摘している。

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