BBCの指摘を受け、Amazon、Google、Wishなどネット通販大手は、2020年7月までに対策を完了させた。各社はBBCに対し、人種差別的商品の販売は規約で禁止されていると説明し、これら商品をサイト上から削除した。

このように大手ECプラットフォームが軒並み対策に乗り出したのを受け、過激派組織らは主な展開をインスタグラムなどソーシャル・メディアに移している。

こうしたプラットフォームでは商品そのものを販売せず、広告審査を通過するだけで自サイトへの誘導広告を出稿できるため、ECサイトよりも過激商品の購入に誘導しやすい実態があるようだ。

ナチスを想起させる…日本の地図記号も議論の的になったケースも

海外のヘイトシンボルは、私たちとも無縁ではない。オリンピック開催前には、地図記号をめぐる混乱があった。日本では寺院を示す地図記号に、インドで吉祥を意味する万字(卍)のシンボルが使われている。

だが、海外から訪れた人々はナチスの想起を禁じ得ないのではないかとして、訪日客向けには三重塔を図案化したマークを使用する案があった。

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ガーディアン紙は当時、民間から挙がった批判の声を取り上げている。あるユーザーはTwitter上で、ユニオンジャックをテロリストたちが掲げたからといって、イギリスがユニオンジャックを廃止するだろうか、と疑問を投げかけた。

結局のところ、日本国内のパブリックコメントでも「寺院の地図記号として卍記号を尊重すべき」など反発が相次ぎ、国土地理院は採用を見送っている

BBCは、各国の固有の文化がナチスのカギ十字のために制約を受けているのではないかと問題提起している。日本の地図記号騒動にも触れ、変更案は「批判を浴びた」と紹介している。

記事は「文化の一部となっているこうした要素が背後関係とは別の状況で使われたとき、その歴史と遺産は汚されてしまったように思われる」と述べ、国際的な認識と現地固有の歴史ある文化との両立の難しさを指摘している。

ケルト十字やルーン文字などのシンボルも、元々は現地の歴史のなかで育まれてきた無害なシンボルであった。一律に忌避することも文化的摩擦の原因となりかねず、使用される文脈に応じた真意の判断が必要とされる。このようなところにも、シンボル問題の難しさがありそうだ。