これとは別に、同団体はTelegramを通じ、「WLM」の文字入りTシャツも販売している。3文字の略称は世に溢れているため見落としてしまいがちだが、これは黒人差別の撤廃運動「BLM(Black Lives Matter)」に対し、白人至上主義を主張する「White Lives Matter」の意味合いがある。

面倒なことに、これらシャツのデザイン性自体には特段不自然なところがない。いかにも怪しげな雰囲気を醸し出していれば購入を自然とためらうものだが、一見して若者向けのアパレルショップでよく扱っていそうなデザインをしている。込められた真の意味合いに気づかなければ、どこにでもある英字プリント入りのTシャツとして購入してしまってもおかしくないだろう。

スマホの画面を見ている女性
写真=iStock.com/LightFieldStudios
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SNS広告に潜む「ヘイト商品」の入り口

さらにたちの悪いことに、大手プラットフォームに広告が出ているからといって、安心できる商品だとは限らないようだ。べリングキャットは、インスタグラム上に掲載されている広告から、ファシズム関連商品の購入へと誘導する例を確認している。

インスタグラムなど大手ソーシャル・メディアは、独自の広告審査を行っている。このため、フィード上に表示される広告自体には、直接的に過激派シンボルマークを盛り込んだものはあまりみられない。

しかし、過激派ストアの運営側も巧妙だ。ソーシャル・メディア上には過激派と無関係な商品の広告を出稿し、ストアへ誘導する手口を多用している。興味をもったユーザーが広告をクリックすると、遷移した先の販売サイト内にネオナチのロゴ入り商品が並んでおり、それとは知らずに買わされるという寸法だ。

べリングキャットは例としてウクライナの販売店である「Schutzenbrand」を挙げ、この手法を用いてインスタグラム上で1800フォロワーを獲得していると述べている。

ほか、暗号化メッセージアプリ「Telegram」のチャンネルへ誘導する例もあるようだ。ロシアの販売店「Ruswear」は、類似の手法でインスタグラムからTelegramへの動線を設け、ナチスの象徴であるカギ十字が織り込まれたセーターやTシャツなど衣料品を堂々と販売している。

海外のアマゾンなどは販売停止、インスタやテレグラムに流れ込む…

こうした過激派グッズは、過去には英国などの一部の国のAmazonでも販売されていた。英BBCは、関連商品が表示されるしくみをとくに問題視している。偶然にヘイト支持商品の販売ページに行き着いたユーザーは、おすすめ商品の表示を通じ、さらに多くの極端な思想のグッズを閲覧するよう誘導される。