──現在、政府は「社会保障と税の一体改革」のなかで、消費税を10%にするとしています。消費税には低所得者ほど負担が重くなるという「逆進性」の問題があります。このまま実施されれば、中間層をさらに痛めつけることになると思いますが。
中谷 同じ消費税でも私は「還付つき消費税」の導入を提案しています。
「還付つき消費税」とは、どういうものか。仮に、消費税を20%として、国民全員に毎年、無条件で20万円を還付するとします。その結果は、こうなります。
年間消費額が200万円の人は、消費税として40万円払うことになるが、20万円は戻ってくるので、実質負担額は差し引き20万円です(実質消費税10%)。
一方、年間消費額が1000万円の人は、消費税200万円を払い、20万円が戻ってくるので、実質180万円の負担となります(実質消費税18%)。
このように、消費額が大きい人(つまり高所得者)ほど、消費税の負担割合が高くなるというのが「還付つき消費税」の仕組みです。
両親と子供2人の4人家族で、年間消費額が400万円のケースを考えてみましょう。消費税は80万円。還付金は、家族4人分で80万円。つまり、この家族が支払う消費税は、差し引きゼロとなるわけです。
この「還付つき消費税」は日本社会の急速な貧困化を阻止し、「分厚い中間層」を復活させる一助となるに違いありません。政府には、ぜひ導入を考えてもらいたいところです。