──日本は「失われた20年」から抜け出せないでいます。どうしたら、日本は復活できるのでしょうか?
中谷 日本企業の強さの源は、どこにあったのか。私は、やっぱり中間層の強さにあったと考えています。欧米では、それこそ1%くらいのすごいエリートがいて、彼らが社会なり会社をリードしていく。
日本は、かなりレベルの高い中間層がたくさんいて、この人たちが結束してすごいことをやってきた。それが、強い競争力を生んだわけです。
日本企業を復活させるためには、中間層のモチベーションを高めて、彼らの本当の力を発揮させることが一番です。この間、完全雇用制は崩壊し、貧富の格差も拡大し、日本の中間層は傷んできました。
資本主義社会というのは、成長率が高いときは、資本側も余裕があるので、所得の再分配や社会福祉、社会保障などにお金が回ります。ところが、フロンティアが消えて利益率が上がらなくなると、所得再配分政策は悪だ、社会保障なんて要らない、自己責任だ、そういう論理に変わってくる。それが、この20年間です。
企業には、もうちょっと踏みとどまってほしいと思います。簡単にリストラをしたり、派遣社員やパートに依存するようなことでは、長期的には社員のモチベーションは下がってしまいますから。