「高まるシェア欲」フォロー対象は“人”から“テーマ”へ
このようなユーザー側の情報行動の普及と呼応するように、インスタグラムも2017年12月のアップデートによって、ハッシュタグをフォローすることが可能になった。
いままではアカウントをフォローして、そのアカウントがシェアするものを見ていたのが、いまでは「#パンケーキ」など、テーマごとにシェアされたものをチェックすることができる。つまり、人からハッシュタグへのシフトだ。
自分がシェアしたものにより、他のユーザーを誘引したい――タグってもらいたい――というモチベーションがさらに引き出される。現に、インスタグラムで「#パンケーキ」と入れると、約510万件の投稿が見つかる(2022年2月時点)。まずは「人気投稿」の欄をチェックしたり、トッピングや色合いのバランスなどを見ながら、ビジュアルの印象で選んだりすることで、目当ての情報(=食べに行くべきパンケーキ)を探りあてるのだ。
発見から購入まで…SNSだけで完結する世界へ
お店選びの動線も、ググってそのお店について口コミサイトで見るというよりは、まずタグるようになっている。行ったときに実際にどんな空間に自分が身を置くことになるのか、お店のウェブサイトでは完全にはわからない――それこそ「盛っている」こともある――し、そこでの評価が信頼できるものなのか心もとないこともある。そんなとき、自分と同じユーザーの立場から写真がシェアされているインスタグラム内でタグることは、その体験の質をはかるためにとても有益なのだ。
今後注目しておかなければならない動向として、インスタグラムをはじめ、さまざまなSNSで購買まで完結できるようなサービスの機能向上が進んでいるという点を指摘しておきたい。そうすれば、SNS上で買い物を楽しむような時代になるだろう。従来のECサイトのように欲しいものが定まった状態での買い物と異なるそのありかたは、発見型コマースと称することができる。SNSは発見型コマースのための場へと進化していくのだ。