「まず家事という仕事をしてみてはどうでしょうか」
そこで、就職そのものよりも親に安心してもらいたいという気持ちのほうが強いと考えられたため、仕事は仕事で探してもらうことにしつつも正社員の就職にこだわらず、まずは家の中で一人前と親から思ってもらえるよう、「家事という仕事」をしてみてはどうかと提案しました。
これまで、「お皿を出して」「牛乳を買ってきて」と指示された手伝いはできていましたが、自分で家事の段取りを考えてはきませんでした。外で働くときも、指示を待っているだけではなく仕事の段取りを考えることはとても大切だから、家事で自分を鍛えてみませんか、と伝えたところ、「やってみる」とのこと。
今は自分の収入は携帯電話と外出時の交通費などで消えてしまいます。どれだけの収入を得れば将来の自分の生活が成り立つのかわかると家事をする励みになると言うので、わかる範囲の家計状況から試算をしてみました。
1.赤色の線:現状維持(本人のバイト収入から家計への貢献はなし)→(本人は77歳時点で金融資産残高0円)
2.青色の線:男性の平均余命時点で赤字にならない収入を逆算(バイト収入を増やし、そのうち月5万2300円を64歳まで家計に入れる)→(本人の平均余命83歳時点で金融資産残高0円)
3.黄色の線:現状、男性に申請の意思はないが障害年金2級を受給した場合(月約6万5000円受給)→(本人の平均余命83歳時点で金融資産残高約200万円)
両親の死後(父87歳、母91歳)は生活費の柱だった年金収入がなくなり、本人が60代後半からは預貯金を切り崩しながらの生活になります。ただ、今後バイト収入を増やして一定額を家計に入れたり、障害年金を受給したりすると、より長く生活することができます。
試算結果のいくつかのポイントは電話で伝えました。詳細は「紙」で渡すことになっていて、今はその方法を男性が検討中です。男性は面談か郵送を希望していますが、面談も住所を伝えることもとても勇気が必要なようです。いずれになるのか、筆者は連絡を待っているところです。