やりとりは電話のみの相談者と話してわかったこと

医学的なことは素人の筆者ですが、病気ではないことを強調したり、障害年金を否定したり、男性が父母のことを他人である筆者に対して「おとうさん、おかあさん」と幼い子供のように表わすことなどから、何となく見えてきたものがあります。

男性はおそらく子供の頃から何らかの診断名がつく特徴を持っているであろうこと、その特徴が理由で周りに対して気を使いすぎて疲れてしまうこと、親はわが子の大変さを知っていて大切に守ろうとしてきたのではないかということです。

今回、父母から男性に対し、お金のことは心配しなくて大丈夫、無駄づかいをしなければちゃんと暮らしていけるからと説明がなされたそうです。いくつかの書類を見せてもらい、他人に相談するくらい心配だったとは気づかなかった、これからは心配しなくて済むようにと家計の概略を教えてもらえたのです。

【家計状況】(年間)
収入
長男:およそ36万円(毎月3万円平均、家計には入れていない)
父:およそ240万円(年金)
母:およそ96万円(年金とパート収入)
支出
基本生活費:300万円
基本生活費に長男の携帯電話料金・小遣い含まず

【資産状況】
父母:預貯金1000万円程度
株式:不明(少し利益が出たときは夕食が外食になる)
持ち家(戸建て、資産価値不明、築38年、ローンなし、10年前に大規模リフォーム)
長男:10万円

返済すべきローンはなく、月々の家計の収支は黒字で、預貯金が1000万円ある……。そうした情報を得て、男性はある程度安心することができました。ある程度というのは、父母が自分と妹を心配させないために父母自身の死後の子供たちの生活のことまで考えていたからです。親の老化は気がかりだけれど死ぬことまでは考えていなかったし、親がそれだけ自分のことがまだ心配ということは、ありがたく思いつつも情けなく感じられたこともあります。

だから、自分はやはり就職して、しっかり働いて親を安心させたいと考え、親に反対された他人への相談を続けようと、あらためて電話をかけてきているのです。親も子も、互いに心配をかけたくないと考えているわけですね。

ソファで本を読んでいる人
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです

せっかく新たな一歩を踏み出そうとしての相談ですし、役に立ちたいとは思います。とはいえ、就労支援となると他の専門家への依頼が必要です。