しかし、経営者仲間にそれを言うと、「そんなの関係ない。商品はどんどん売って、後から店を出せばいい」と返り討ちに。村上さんはその助言を素直に聞き入れた。それが功を奏して、今やECが売り上げ全体の8割を占めるまでになっている。
ただし、直近は新型コロナウイルスの影響が出ていると村上さんは悔しがる。
具体的には、アルコール消毒のために世の中で大量の容器が必要となり、これまで洗車用品で使っていたボトルが手に入らなくなった。海外進出を狙っていた同業他社が国内にとどまったことでパイの奪い合いになっている。
また、村上さんの後を追った洗車ユーチューバーが急増。競争が激化したことも、会社の成長を鈍化させる一因になったという。
洗車の市場はまだまだ大きい
ホワイトシードは、YouTubeを武器に約2億6200万円という売上高を作ってきたといっても過言ではない。ただし、大目標である100億円に到達するためには、当然これだけでは難しいだろう。今後、どのようにビジネスを拡大するのか。
「YouTubeはあくまでブランディングの一環です。チャンネル登録者数10万人が一つの目安。それ以降も続けますが、そこで培ったブランド力を基に、FC(フランチャイズ)と直営を織り交ぜながら全国に店舗を作っていきます。結局、店を出すのが、その地域の人に一番知ってもらえる手段になるからです」
店舗運営が最優先で、FCについては国内で400店舗以上を狙う。400と聞くとすごい数のように感じるが、カーディテイリングの市場はまだまだブルーオーシャンが広がっていると村上さんは話す。実際、自動車検査登録情報協会の調べでは、2022年2月現在の乗用車の保有台数は約6215万台となっている。
「僕からすれば、世の中のクルマのほとんどがまだ汚れています。6000万台中、きれいなのはほんの数パーセント。僕らは世の中を変えたいので、最低でも全体の10パーセントは顧客にして、クルマをきれいにしていきたい」
そう考えると、ターゲットは600万台で、市場規模としては数千億円に上るという。市場開拓の余地は十分すぎるほどあるのだ。
秋田から日本を変える
上述したように、村上さんが会社を大きくするのは、秋田を元気にしたいという一心から。生まれ育った場所に対する郷土愛もあるが、何よりも若者の雇用創出のため。100億円企業になれば、その一端は担えるはずと信じている。
また、秋田を変え、日本を変えるという野望も抱く。
「秋田は日本一人口減少率が大きい都道府県。つまり、秋田は日本一の課題先進エリアなんです。秋田のさまざまな社会課題を解決する方法や、秋田できちんと回るビジネスモデルが作れたら、日本のどこでも通用すると考えています」