そんな秋田の中でも、村上さんが目を向けるのが上小阿仁村だ。
「人口は2000人を割り込んでいます。この規模であれば僕らが稼いで財政を立て直すなど、村を幸せにできるかもしれない」
村上さんの望みはこれで終わらない。全国にはそんな村がたくさんあるため、ホワイトシードの取り組みを見て、「うちもやろう」と手を挙げる企業が次々と現れたら、ドミノ倒しのように、秋田の小さな村から日本全体を変えることにつながるかもしれない。その最初のケーススタディーになりたいと村上さんは力を込める。
「人に尽くすほど、なぜか自分も豊かになっているんです」
起業してまもなく10年を迎える村上さんが、最近感じるようになったことがある。
それは、自分のためよりも、人のため、人の幸せのために頑張っていると、巡り巡って自分が幸せになるということだ。「人に尽くすほど、なぜか自分も豊かになっているんです」と村上さんは笑う。
これは、洗車にも通じる部分があるそうだ。
「うちの仕事の良いところは、お客さんが目の前で感動してくれることです。自分のクルマがきれいになりすぎて泣く人もいます。実際、作業は大変で、『こんなところまで洗うなんて体がきついな』などと思うこともあります。でも、その間もずっとお客さんが喜ぶ顔を想像して頑張るわけです。それを続けたことで、会社も良くなったという実感があります。お客さんをもっと喜ばせたいし、幸せにしたいですね」
若者の才能という種だけでなく、人々を笑顔にする種を秋田から日本中、そして世界中にまく日を夢見て。それを成し遂げたとき、