ただし、このような状況で後悔しないための行動をつくすには、当事者である患者家族の努力だけではなく、医療関係者や公的機関などの支援が必要不可欠である。患者家族にも日常生活がある。それが壊れてしまっては、患者のケアもできなくなってしまう。

この研究でも指摘されているが、患者家族が不安を感じずにすむように、患者に対応できるようにするための情報や知識の提供、患者が望むことをやり残さないような残り時間を考慮した支援、家族が行ったことに対するポジティブなフィードバックなど、医療関係者、公的機関、ボランティアなどがサポートすることも必要である。

後悔することは悪いことばかりではない

ここまで、本稿では後悔することは悪いことだけでしかないかのように書いてきた。確かに後悔することで、自分自身を責めすぎたり、やる気を失って自暴自棄になったり、心身の健康状態に影響を及ぼしたりことも少なくない。

上市秀雄『後悔を活かす心理学』(中公新書)

しかしながら後悔することは悪いことだけではない。自分を成長させるための薬にもなりうる。誰しも「あの経験があったからこそ、今の自分がある」と思ったことがあるだろう。後悔を良薬にするためには、後悔したことを反省し、そしてその後悔から学ぶことが必要となる。そうすることによって、自分をより成長させ、同じ過ちを繰り返さないようになったり、適切でない行動を適切な行動へ変化させたりすることが可能となる。

後悔したことをきちんと受け止め、真摯しんしに反省した人たちは、後悔を低減させることができる。そして後悔した出来事を反省することにより、以前よりも、「思慮深く考えて、行動する(あるいは行動しない)ようになった」「自分のことを客観的に見ることができるようになった」「無駄なリスクを冒さないようになった」「社会のルールを守るようになった」などのように、社会に適応・適合した行動をする傾向が高くなる。

適切に対処すれば「後悔は成長のもと」になる

後悔はしないほうがよいものなのかもしれない。しかしながら、後悔したとしても、その後悔に対してきちんと向き合い、適切な対処をすることによって、後悔を小さくし、そして自分自身を高め、さらには自分自身をよりよい方向に促進させることも可能なのである。

「失敗は成功のもと」とよくいわれる。それと同じように「後悔は成長のもと」でもある。

私たちが何らかの行動や判断を変えなければならないときや、自分の考え方を変えて出直さなければならないときなどに、後悔はあなたへのアドバイスとなる。そのためには、後悔をそのままにせず、適切に対処することが必要不可欠なのである。

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